メニュー

糖尿病網膜症の治療

いま 日本国内で糖尿病が疑われている人は約1000万人と言われています(2016年国民健康・栄養調査)。糖尿病の初期では自覚症状がほとんどないために軽視されがちですが、血糖が高い状態が続くことで、全身にいろいろな糖尿病の合併症を引き起こします。その中でも糖尿病網膜症は、眼科で詳細な検査を受けて初めて早期治療につながる病気です。(検診だけで満足してはいけない、という意味合いもあります)。

糖尿病網膜症は、始めは「単純型」、続いて「増殖前型」、さらに「増殖型」へと進みます。「単純型」では、網膜に小さな出血や毛細血管瘤が出てきます。この時期では、自覚症状がないことが普通です。「増殖前型」では、網膜血管のつまりが著明で、酸素を補おうと新生血管の増殖が起こりやすくなっています。この時期に網膜光凝固術を施行して、この増殖を抑えます。この時期を放置しますと、次第に「増殖型」に移行して、硝子体出血をおこしやすくなります。わたし(院長)はよく外来で、赤いペンキの缶をひっくりかえしたような出血とたとえています。

また、経過中に、糖尿病黄斑浮腫(網膜の中心がむくんでしまう)を合併することもあり、「網膜3次元画像解析検査(OCT)」を時々施行して経過をみることも必要です。詳しくは外来で院長にご相談ください。

「糖尿病網膜症の分類=福田分類」

<良性網膜症>
A0:糖尿病性変化なし。
AⅠ:毛細血管瘤 あるいは 点状出血(最初のおきる変化です)
AⅡ:しみ状出血、硬性白斑
AⅢ:陳旧性の新生血管
良性網膜症のうちに糖尿病のコントロールをしっかりしましょう。
AⅣ:陳旧性の硝子体出血
AⅤ:陳旧性の増殖性網膜症
再燃させないように気をつけましょう。
 
<悪性網膜症>
BⅠ:IRMA(網膜内細小血管異常)、軟性白斑、網膜浮腫、線状・火焔状出血、静脈の数珠状変化→状況により光凝固の適応ありです。
 
BⅡ:新生血管→すぐ光凝固(レーザー)を考えます。
 
BⅢ:視神経乳頭に直接連絡する新生血管→至急光凝固(レーザー)を考えます、厳重観察の段階です。
 
BⅣ:網膜前出血、硝子体出血→厳重観察、至急光凝固の適応ですが、レーザー光が通りにくくなり、困難な局面になります。
 
BⅤ:硝子体中に立ち上がる新生血管、硝子体出血
 
Ⅵ:網膜剥離(失明に至る段階です)
 
P:光凝固術(レーザー治療)を施行したもの。
V:硝子体手術を施行したもの。
M:黄斑症(ちょっと厄介、大変)
 
写真
左: 単純型網膜症(AⅠ)
中央:前増殖型網膜症(BⅡ)
右: 増殖型網膜症(BⅣ)

 

 

 
 
 

 

     
▲ ページのトップに戻る

Close

HOME