加齢黄斑変性の治療
加齢黄斑変性は、私たちがものを見るときに使う黄斑部の機能が障害される疾患です。「滲出型」と「萎縮型」があり、「滲出型」は、新生血管が発生し出血することで網膜に障害がおこるタイプの疾患です。進行が速く急激に視力が低下します。また、「萎縮型」は、網膜の細胞が加齢によって変性し、老廃物が蓄積して栄養不足になり、その結果、徐々に萎縮する疾患です。進行が穏やかなので気づかない人もいます。
発生の要因として
- 加齢によるもの
- 喫煙によるもの
- 高血圧によ るもの
などがあげられます。
また、症状として
- ものがゆがむ
- 視力が低下する
- 部分的に見えづらくなる
- 視野の中心が見えづらい
などがあげられます。
治療について
滲出型黄斑変性の場合は、抗VEGF薬を眼内に投与する方法や、光線力学的療法(PDT)などをおこないます。
光干渉断層計(OCT)による画像
正常な眼の黄斑像
滲出型加齢黄斑変性の黄斑像
<加齢黄斑変性についてさらに詳しく>
加齢黄斑変性症(ARMD)は、網膜の中心にある黄斑の細胞が破壊され、視野の中心が見えなくなってしまう病気です。先進国の高齢者の失明の原因になっており、米国では1600万人がARMDを罹患されているとのことです。日本では久山町研究が有名であり、少なくても片眼にARMDを有する割合は50歳以上の人口の0.87%を占めています。
ARMDの前段階(大きいドルーゼンや網膜色素上皮の限局性の色素沈着)を占める割合は年齢が高くなるほど高率になり、80歳代では男性で36.4%、女性では29.1%を占めています。
近年、紫外線、大気汚染、喫煙などの外的な要因によって、活性酸素が増加し、黄斑の脂肪酸化をきたし、黄斑変性と関係することが知られてきました。
そこで抗酸化ビタミンであるビタミンCやE、βーカロチン、抗酸化ミネラルである、亜鉛、セレン、銅、マンガンの摂取は、ARMDの発症予防に有用であると、2001年にAge-related eye disease study groupの報告がありました。
ところで、「緑黄色野菜の王様」といわれるホウレン草に含まれるルテインが目の健康に重要な役割を担っていることがわかってきました。ルテインは、カロチノイドの一種で体内では合成できず、食事でしか摂取できないものです。緑黄色野菜のなかでもホウレン草にとくに多いです。
このルテインと代謝産物のゼアキサンチンは、水晶体や網膜を、光による酸化ストレスから守っていることが知られているのです。
(現在、ボシュロム社より「オキュバイト」、参天製薬より「サンテウエルビジョン」という名前のサプリメントが発売されています。当院では「サンテウエルビジョン」を取り扱っています。)